お題 「愛の迷宮」 一度迷い込んだら逃げられないラビリンス、その名は愛。
「愛の迷宮」
出張の多い仕事で、いくら俺が留守がちだとは言え、最近の妻の様子は明らかに不審だった。 あまり顔を合わせなくても、いや、それだからこそ、変化には敏感になる。 いったい、いつからだろう。俺の知らない内に、彼女は遠くなっていた。 これ以上、捜し求めても無駄なのだろうか。俺には、彼女が見えない。 今夜も出張から帰り着き、重い玄関の扉を開けて、俺は叫んだ。 「おい、愛! 俺の出張のたびにリフォームして家を迷路に造り替えるな!」 我が家は、近所からダンジョンハウスと呼ばれている。
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