[飛帆を求めて]

悲劇――tragedy. それは予期せぬ運命の悪戯。

西坂公園を出た我々は、まずは通り道ということで路面電車で出島へ。北見の地元には路電なんてものは走っておりません。恐らく修学旅行以来の乗車。そうして辿り着いた出島は――人気がない。にんき、じゃありません。ひとのけはいです。
それもそのはず、出島和蘭(おらんだ)商館跡も、出島資料館も、営業(いや 「開館」か?)時間は9時〜17時。そして時はすでに午後5時を回っているのですから。むりやり柵のわずかな隙間を通って侵入を試みましたが、不審人物約2名は目的を果たせずじまい。「中なんて見なくてもショボそうだよな」などと負け惜しみの文句を吐いて、我々は出島を去りました。

……この辺りから一抹の不安はあったわけですよ。そうして次に目指したのは飛帆(ふぇいふぁん)。赤い(タクシーの)ラッキーおじさんに教わった地点を目指したのですが――ない
入り江になっているのだから見渡せば自ずと知れるだろうと思ったのですが、わかりません。ここで我々の脳裏に、綺羅星のごとく一つの思いが輝きました。

「ラッキーおじさんに騙された!」

人の好さそうな笑顔で観光客に近づき、言葉巧みに惑わす謎の赤い集団! 恐るべし、長崎!! さすがは殉教とカステラの街!!!

………我々はとぼとぼと歩き始めました。飛帆を求めて。いずれ長崎港のどこかにあるのだから、海岸に沿って歩けば見つかるだろうという希望を抱きながら。それに飛帆は海に浮いている(らしい)。
しかし――どこまで歩いても、駅付近をうろうろ、ふらふら、とぼとぼとしながらも、停泊中の船に中華風味を感じられるものはありませんでした。そう、これだけの時間と労苦にも拘らず、飛帆を見つけることができなかったのです。鳴呼、幻の飛帆。

結局、捜索を断念した我々は駅ビルでカワキモノとリキュールを購入し、ホテルでヤケ酒……とはいかなかったか。Rは酒呑まないし。(一人でちびちびとやってました、自分……)足の張りを呪いつつ、健康的な早寝(フテ寝)。
それにしてもどこにあったんだ!? 飛帆!!

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